先日行われた共通テストについて、医学部受験生を対象に、問題をチェックしていきます。
今回は数学IIBです。今年も、IIはストレートな標準問題で、B(ベクトル・数列)がちょっと手ごわい問題でした。しかし
センター試験の頃と比べると、数学Bでも素直な問題になったという印象を受けます。
予備校や出版社などが出している共通テスト講評などは、一般の受験生を対象にしているので、医学部受験者の状況には合っていない事があります。たとえば問題の難易度については、予備校などの講評では「教科書に掲載されていない物質が題材となっている」「溶液の濃度の変化を考慮して計算をしなければならない」などという理由で、「難しい」とされることがあります。
しかし、私大や国立2次を照準において学習を進めている医学部受験生は、その程度の理由で共通テスト問題を難しいとは感じないでしょう。むしろ、難しいと思うのは、
私大や国立2次と傾向が異なるようなタイプの問題が共通テストで出題されたときであるというのが実感なのではないかと思います。
第4問。
今年は、第4問が数列で、第5問がベクトルです。
その数列。問題文を落ち着いて読んで、誘導にきちんと乗れれば、正解にたどり着けます。
等差数列と等比数列と使った漸化式です。a
nからd
nまで登場し、形も複雑ですが、計算量は多くありません。その点で、昨年よりは易しくなっていると思います。
第5問。
正12面体のベクトル問題。「五角形の立体だ」と思ってしまうと難しいですが、
すべて平面で考える問題なので、特に難しいところはありません。
最後の問題は、切断面の四角形OB
1DB
2がどういう四角形か、聞かれています。対称性があるので直感的に正方形だとわかるのですが、問題の誘導で内積がゼロ、つまり直角であることがわかり、またあるベクトルが他のベクトルの整数倍、つまり平行であることがわかるので、正方形だとわかる、という仕組みです。
対策です。
今年は数列・ベクトルが、難しそうに見えて易しかったです。ただし、今までのセンター試験では、年によっては相当難しいベクトル問題も登場しています。ですので、共通テストだから易しい、とは一概には言えません。
他の科目と同じく、まずやるべきは過去問です。2021年共通テストの第一日程と第二日程、そして試行調査。センター試験の数年分もあわせて解く。その後に、各予備校等が出している共通テスト対策問題集(模試パックなど)を解いてみます。
数学IIBでは、
時々計算量が多すぎて解答時間内に解ききれない問題が出題されます。おそらく出題者側の難易度調整がうまくいかなかった(入試問題では、テキストのように、人に解かせてみて難易度を調整することが難しいです)のでしょうが、計算量が多かったり、数式が複雑だったりしたときのための準備はしておきたいです。
数学IIBのセンター試験平均点が低かった年の過去問を解いてみるとよいでしょう。