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医学部受験のための共通テスト分析2021・生物

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先日行われた共通テストについて、医学部受験生を対象に、問題をチェックしていきます。
今回は生物。全体の傾向としては、やや易化。知識問題・計算問題は少なく、思考問題は素直です。ただ、共通テストで知識問題が少なくなったからといって、普段の勉強で知識の強化を緩めることはできないでしょう。私大医学部や国立2次では、非常に深いレベルでの知識が要求されるからです。
  
予備校や出版社などが出している共通テスト講評などは、一般の受験生を対象にしているので、医学部受験者の状況には合っていない事があります。たとえば問題の難易度については、予備校などの講評では「教科書に掲載されていない物質が題材となっている」「溶液の濃度の変化を考慮して計算をしなければならない」などという理由で、「難しい」とされることがあります。
しかし、私大や国立2次を照準において学習を進めている医学部受験生は、その程度の理由で共通テスト問題を難しいとは感じないでしょう。むしろ、難しいと思うのは、私大や国立2次と傾向が異なるようなタイプの問題が共通テストで出題されたときであるというのが実感なのではないかと思います。

第1問問4
資料から結論を導く問題。このタイプの問題は、資料の数を増やして複雑にすれば、難しくなります。本問の資料は、
1: 一塩基多型(SNP)の塩基にはCとTの2種類があり、アジア人、アフリカ人は100%がCのタイプ、スウェーデン人は68%がTのタイプ。
2: ラクターゼ(乳糖分解酵素)遺伝子の転写を促進する調節タンパク質Yが、SNPを含むDNA配列と結び付くかを確かめた。YはTのタイプと強く結合したが、Cのタイプとは結合しなかった。
3: チンパンジー、ゴリラ、オランウータンのゲノムを調べてみると、全てCのタイプのホモ結合。ヒトの祖先型もC。
 
この3つから推理できることは、Cのタイプは乳糖分解しにくいので、チンパンジーなどやヒトの祖先、アジア人、アフリカ人の成長個体は、乳で下痢をしやすい。そして、スウェーデン人は変異型。
ここでふと、「他の可能性もあるのでは?対照事実が必要では?」と思うかもしれませんが、センター試験の頃から、生物の考察は素直に考えていいです。「薬品Aを与えるとマウスは病気になるが、薬品AとBを混ぜて与えるとマウスは病気にならない」という事実から、「薬品Bは薬品Aを阻害する」と結論付けるようなレベルです。

第2問問4
これも資料の数を増やして難しい問題になったもの。ただ、資料の数が増えると、それに反比例するかのように、資料から導ける内容は単純になります。
1: トカゲの在来種と外来種がいる。外来種を導入した人工島と導入しなかった人工島を何年間か調べると、導入しなかった島は、在来種の数が一定だった。導入した島は、外来種が増え続け、在来種は減り続けた。
2: トカゲは樹の幹で生活する。外来種を導入しなかった島は、在来種は高さが低い位置にいる。導入した島は、外来種は低い位置にいて、在来種は高い位置にいる。
3: トカゲの指先には「指先裏パッド」があり、その表面積が大きいと張り付く力が強く、樹の高い位置にとどまれる。在来種の「指先裏パッド」をみると、導入しなかった島よりも、導入した島のほうが表面積が大きかった。
 
この3つから推理できることは、在来種は外来種との競争を強いられると、生活空間を外来種と分けて高い位置に住むようになり、それに合う形の個体が増える。



コツは、落ち着いて考えること(「高さが低い」という言葉には「高」という字が入っているので「高いのかな」と思い違いをするようなミスは、試験本番では起きやすいです)、そして素直に考えることです。

それでは、対策です。
推論問題は、得意不得意が分かれやすいです。「何を勉強すればいいかわからない」ことになるからです。数多くの問題にあたって感覚を掴んでいくしかないのですが、ポイントを押さえないと、何度も同じ間違いを繰り返すだけで点数が伸びないことになってしまいます。
まず自分の思考過程を明確にすること。つまりメモなどで思ったことを書いておくこと。そうすれば「何を間違えたのか」が明確になります。
平易な推論問題は、平易であるということを知っていないと、深読みを始めたりしてしまいます。そのあたりの感覚を、過去問演習で養っておきたいです。試行問題や過去問を丁寧に分析して、「共通テストが要求する知識や推論の相場」を知っていくように(基本的な知識事項が定着できていれば、共通テスト生物は半月程度の演習で構わないと思います)練習するとよいです。
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