先日行われたセンター試験について、医学部受験生を対象に、問題をチェックしていきます。
今回は数学IAです。毎年の傾向なのですが、数学IAは
易しい問題と難しい問題の差が大きいです。易しい問題を解くときのような感覚で難しい問題にあたると行き詰まります。逆に、難しい問題のようにジックリ取り組んでしまうと、易しい問題を解くときに時間と神経を必要以上に使ってしまいます。
今年は、難化しました。文章量が多く、「考えさせる問題」が多かったようです。
予備校や出版社などが出しているセンター試験講評などは、一般の受験生を対象にしているので、医学部受験者の状況には合っていない事があります。たとえば問題の難易度については、予備校などの講評では「教科書に掲載されていない物質が題材となっている」「溶液の濃度の変化を考慮して計算をしなければならない」などという理由で、「難しい」とされることがあります。
しかし、私大や国立2次を照準において学習を進めている医学部受験生は、その程度の理由でセンター試験問題を難しいとは感じないでしょう。むしろ、難しいと思うのは、私大や国立2次と傾向が異なるようなタイプの問題がセンターで出題されたときであるというのが実感なのではないかと思います。
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第3問 場合の数・確率の問題。今回は小問2個で文章正誤選択問題が入っています。センター試験では珍しい形式です。
小問〔1〕は、問題自体は易しいのですが、文章を読んで状況を掴むのに時間がかかりそうです。こういう問題はパッと読むと正しそうに見える文章が並んでいますから、精査する必要が出てきます。
「コインを5回投げて少なくとも1回表が出る確率は0.95より大きいか?」
「赤球白球あわせて8コから1コ取り出し戻す。5回繰り返すと赤が3回出た。1回の試行で赤が出る確率は5分の3か?」
という感じで進みます。
これは条件つき確率の問題。(81+1)回中81回が表です。
小問〔2〕では、コインを5回投げるゲームですが、途中でゲーム終了となる場合がある(得点がちょうどゼロになったとき)ので、それを除外して考慮する必要があり、ややこしいです。全部で32通りを数え上げて樹系図を作れば確実に解けます。ただ時間がかかりミスも多いので注意が必要です。
第4問 整数。七進法で表すと循環小数になる数字y=2.ababab…
(7)についての問題が特に慣れないかもしれません。
yが「分子が奇数で分母が4の分数で表せる」場合については、2<y<3より、分子は9か11。このあたりが思いつくかどうかが勝負です。
第5問 平面幾何。最後は「方べきの定理の逆」を使う問題。途中にAE・ACを求めさせる問題があり、これとAG=6、AB=12という情報を組み合わせて方べきの定理が成り立っていることに気づく、という流れです。ただ、これは思いつかない可能性も高いです。
第4問についてもそうなのですが、普段から
解答をすぐ読んで理解した気になるような勉強ですと、こういう時に手が出なくなります。公式にあてはめて解けるタイプの問題は、センター試験ではあまり多くありません。
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対策について。医学部受験生にとってのセンター数学の目標点は、満点です。数学IAで満点を阻まれるとすれば、計算ミスをしたか、急所に気づかなかったかでしょう。
前者は、普段から意識的に練習して減らすことです。検算がしにくい問題も多いですから、正確に解くことは非常に大切です。
後者は、多くの問題に当たることです。
各予備校が出しているマーク問題集でいいので、たくさん解いておくことです。繰り返しになりますが、普段から、解答をすぐ読んで理解した気になるような勉強ですと(それが有効な場面もありますが)、思いつく力は伸びません。