先日行われたセンター試験について、医学部受験生を対象に、問題をチェックしていきます。
今回は数学IIBです。例年、数列とベクトルの分野で、計算に時間がかかるような問題が出題されています。今年も、複雑でミスしやすい式変形が求められています。教科書の範囲で難問を作るとこんな問題になる、という感じです。
予備校や出版社などが出しているセンター試験講評などは、一般の受験生を対象にしているので、医学部受験者の状況には合っていない事があります。たとえば問題の難易度については、予備校などの講評では「教科書に掲載されていない物質が題材となっている」「溶液の濃度の変化を考慮して計算をしなければならない」などという理由で、「難しい」とされることがあります。
しかし、私大や国立2次を照準において学習を進めている医学部受験生は、その程度の理由でセンター試験問題を難しいとは感じないでしょう。むしろ、難しいと思うのは、私大や国立2次と傾向が異なるようなタイプの問題がセンターで出題されたときであるというのが実感なのではないかと思います。
第3問。
今年も漸化式が出題されました。私大医学部志望者にとっては、この程度の計算量は処理できるでしょう(できなければ練習不足)。
できれば、誘導に頼らなくてもある程度自力で進められるようにすると、正確さが上がるでしょう。
a
n+1={(n+3)/(n+1)}a
nなら、両辺(n+2)(n+3)で割って{1/(n+2)(n+3)}a
n+1={1/(n+1)(n+2)}a
nとなって、右辺のnにn+1を代入すれば左辺になる形になります。
同様に、a
n+1=3a
n+3
nなら、両辺3
n+1で割ってa
n+1/3
n+1=(a
n/3
n)+1/3となって、同様の結果となります。
その後の部分分数分解の利用や、等比数列の和の利用も、流れを自分で組み立てられるようにすれば、時間配分も少し楽になります。
誘導の言われるままに解き進めるという感じでもいいですが、今年のセンター漸化式は、少しだけ、状況が読みやすいものでした。
第4問。
空間ベクトル。第3問と違い、こちらは去年よりもイメージがつかみにくいので、
誘導の流れに乗って解く、という感じでしょうか。
(3)は、四角形の形状と、面積を答えさせる問題です。ベクトルOAとCB(対辺となる2本)の大きさが異なるが、平行であるので、台形と答えます。(台形でなければ次の面積の問題が解けないので「たぶん台形だろう」と直感で考えられるでしょう)
(4)も、地味に複雑です。点Dの座標、∠CODの大きさ、四面体DABCの高さ、体積と順に出していきますが、Dの位置関係が少しわかりにくいので、立体をイメージしにくいかもしれません。
計算で押していくのが基本方針ですが、それでも位置についてのある程度の情報がイメージできていなければ、計算もしづらいでしょう。
数学IIBでは、整数や平面幾何のような難しさよりも、繁雑な計算で時間がとられることのほうが多いです。それでも医学部受験生であれば満点を狙いたいところです(受験生をみても、IIBのほうが満点を取りやすい様子です)。センター過去問や対策問題集を練習するのが近道です。
河合か駿台のものが、難易度も適切でしょう。
私大医学部の短答問題の対策も兼ねて、スラスラ解き進められるようにしておきたいです。