Quest クエスト 医学部受験メモ

クエスト 東京・新宿の医学部・東大専門予備校

医学部受験のためのセンター試験分析2019・化学

[ Top ]
先日行われたセンター試験について、医学部受験生を対象に、問題をチェックしていきます。
まず化学から。2019年の化学はやや難化しました。計算問題がやや複雑なのと、グラフ問題が「科学的思考力を問う」形式であると評価されています。新テスト移行を意識したものでしょう。
医学部受験生としては、てこずって時間がかかってしまうことは避けたいですし、先入観から即断で誤答することも注意したいところです。
 
予備校や出版社などが出しているセンター試験講評などは、一般の受験生を対象にしているので、医学部受験者の状況には合っていない事があります。たとえば問題の難易度については、予備校などの講評では「教科書に掲載されていない物質が題材となっている」「溶液の濃度の変化を考慮して計算をしなければならない」などという理由で、「難しい」とされることがあります。
しかし、私大や国立2次を照準において学習を進めている医学部受験生は、その程度の理由でセンター試験問題を難しいとは感じないでしょう。むしろ、難しいと思うのは、私大や国立2次と傾向が異なるようなタイプの問題がセンターで出題されたときであるというのが実感なのではないかと思います。


第2問問3。
溶解度積の計算問題。「仮のKSPを求めて、実際のKSPと比較する」という典型問題です。しかし溶解度積が反比例グラフで与えられていて、5パターンの混合溶液のうちどれが沈殿発生するかという形式は、目新しいものです。その目新しさに気を取られて、「与えられている濃度は混合前のものである」というヒッカケに気づかなくなると間違えます。
混合すると濃度は下がる(溶液体積は増えるから)、ということは、「鉄則」の形で注意したいところです。イメージで言うと、「10%塩水と10%砂糖水を等量混ぜると、塩水としては5%程度になる」というところです。
 
第3問問5。
センターで無機の計算問題といえば、「化学反応と量」か「モル計算」かがほとんどなのですが、今回は「化学反応と量」。慣れてしまえば中学入試の要領で計算できます。
この問題について、代ゼミは「かなりの思考力を要する」と評価し、東進は「具体的に計算してしまえば素早く解答できる」としています。この問題に答えるだけなら東進の言う通りですし、記述型類題にも対応しようと思えば代ゼミの見解も一理あります。
私大医学部入試では、たとえ平易な問題であっても、1~2コの結果だけを抜き取って計算して終わり、という問題はあまり期待できないので(出題はされるが期待はできない)、「題意を掴もうとする」練習はしておきたいところです。
化学反応と量の問題なので、過不足なく反応するところを探して立式すること。そして、クロム(無機の学習で重金属分野はあやふやになりがち)の知識をしっかり整理しておくこと。価数を間違えると反応式も間違い、そして計算も間違えてしまいます。
 
第7問問2。
選択問題で「やや難」と評価された問題です。ならば選択しなければいいのですが、そのことを試験中に判断するのも難しいです。
ジペプチドと3種のアミノ酸の元素組成比が与えられており、そこからジペプチドがどのアミノ酸からなるかを求める問題です。グラフを見るとまず気づくのは、問題のジペプチドとシステインにのみ硫黄が含まれていることです。各予備校は「ここに気づけばよい」と言っていますが、しかしそれでは2択にしか絞れません。

20191012.jpg

慣れてくれば、問題のジペプチドは炭素が少なめ、だからベンゼン環はなさそう、そして問題のジペプチドは酸素が多め、だからカルボニルがありそう、という風に推測できます。
もちろん正確に求めるならば、組成比を実際に計算することになります。時間に余裕があれば、計算によって確定することになりますが、そこまでの時間はないかもしれません。

それでは、対策です。
新テストを意識して、問題文章が長く、設定が複雑になりました。こまごまとしたところで計算もする必要があります。
一方で、医学部受験生が、センター試験程度の基礎知識を持ち合わせていないというのも考えにくいところです。勘違いミスで点を落とすケースが大半でしょう。
ならば、勘違いしやすいポイントを列挙して整理しておくことが、まずは対策になります。
単純な理屈からは導出しにくいような反応式は丁寧に覚えておくこと。濃度計算・熱計算で引っ掛かりやすいポイントは、「○○に注意」という形で箇条書きにでもして覚えること。
[ Top ]

クエスト 東京・新宿の医学部・東大専門予備校