前回にひきつづき、医学部受験生にとってのセンター試験。
今回は地理についてです。
今年は少し難化したようです。図表が増えたことなどが原因です。ただ、図が増えたことについては、「どういう図なのか」がポイントであり、今回はその点についていえば
「意図が明らかな図表」が多いので、楽に取り組めたかもしれません。
第1問問1 土壌と植生。中国北部(天津あたり)とアフリカ西部(リベリアあたり)についての記述が、やや難しいです。中国では温帯と亜寒帯の区別、アフリカではステップと熱帯雨林の区別。問題の地図と分布図をよく見比べなければ間違えてしまいます。
第3問問1 集落。頻出の分野です。パリ近郊の交通網地図と景観写真から場所を特定する問題です。予備校からは「やや難しい」と評価されました。
地図を読みなれた人であれば、都市高速道路が旧市街を避けて建設されることがあること、主要道路(高速道路など)が放射状と環状に走るため、その都市の中心地が突き止められること、などを手掛かりにすることもできます。
新都心のラ・デファンスは高層ビルが立ち並ぶ、日本で言えば新宿あたりのような場所です。フランスは旧都心部が景観保護のために高層ビルの建設を抑制していますので、なおさら新都心に高層ビルが集中しています。
第3問問2 表1の1~4の都市は、キャンベラ、クアラルンプール、ソウル、ペキンのいずれかであり、クアラルンプールがどれかを答える、という問題です。地理の勉強は「何かを丸覚えすればいい」というわけではない、ということがよくわかる問題です。受験科目として地理を選択するかどうか、判断する目安にもなります。
「突出した数値」を手掛かりにします。巨大企業の本社数では北京が意外と多く(製造業よりもサービス業が多いので受験生になじみが薄いかもしれません)、人口集中率ではソウルが日本と同様に一極集中型であり、キャンベラが政治機構が中心の都市であり経済的・人口的要素が小さいということから推測します。この問題について代ゼミは「国際会議の年間開催件数に注目」としていますが、それは理系受験生には厳しいでしょう。
第4問問2 これも予備校が「やや細かい」としている問題。ですが、こちらは知識で押さえこめます。
ヨーロッパ国の海外領土はキッチリと覚えておくことが大切です。イギリス領ジブラルタル、フランス領コルシカ島、イタリア領シチリア島、そしてイスタンブールはバルカン半島にあるトルコ領。
第4問は問6も難問扱いされていますが、これも国家の位置関係と旧植民地の知識で解けます。センター試験では「たまたま偶然でそうなっている」資料が出題されることは少ないです(ゼロとは言えませんが)。エクアドルになじみのある国、アルジェリアになじみのある国と言えばどこでしょうか、という問題です。
対策について。目指す点数によっても多少対策は変わってきますが、「地図に慣れる」「最低限の歴史・公民の知識は持っておく」「宗教や交通の知識は少し深く用意しておく」点は変わらないでしょう。