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医学部受験のためのセンター試験分析2019・倫政

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前回にひきつづき、医学部受験生にとってのセンター試験。
今回は倫理・政経についてです。特に倫理分野で、やや細かい知識が問われました。理系受験生は、センター社会で満点を取る必要はないので(満点狙いだと記憶量が膨大になる)、割り切れば良いのですが、そのあたりのサジ加減は他科目の仕上がり具合にもよるところである、というのが本音だと思います。
 
 
第1問問2 現代の生殖技術について。これを発展的問題と評価している予備校もありますが、医学部受験生であればサラリと解答したいところです。着床前診断、デザイナーベビー、代理出産、人工授精が扱われていますが、常識的に解答できるものです。生命倫理は倫理参考書にも掲載されていますから、外せない問題です。

第2問問6 西田幾多郎の絶対無。これも難問と評価されています。まず西田は西洋哲学の前提への懐疑から思想を始めるので、「西洋哲学に基づいて」という選択肢は誤択とわかります。
そして、西田と言えば一体・統一・未分ですから、「矛盾を残しながら統一されている」という選択肢(絶対矛盾的自己同一)を選ぶ、という流れです。西田はセンター試験で時々出題されていますから、注意が必要です。

第4問問7 倫理分野と比較すると、政治経済分野は基本的な知識で解けるものが多いです。ヘッジファンドが通貨危機を引き起こすことや、量的緩和がデフレ脱却を図るものであること、コール市場が金融機関間の短期金融市場であることなど、参考書にもきちんと記載されています。コツとしては、古典的なものと現代的なものに分けて、現代的なものは現代社会の状況とリンクさせて理解するとよいでしょう。

第5問問5 地方自治。予備校が一致して「やや細かい」と評価した問題です。とくに、地方議会の首長不信任決議の要件(出席議員の4分の3以上)が難しいところです。


地方自治分野に限っても、直接請求権の必要署名数や議会の再議再可決要件など、数字がいくつかあるので、確かに細かいところです。ただ、誰かをやめさせる決議を過半数で行うことは多くはなく(株式会社の取締役解任決議あたりが思いつきますが、自分で選んだ者を自分が辞めさせる制度です)、住民が投票で選んだ者を別の機関が失職させるのはかなり重い制度(地方自治法第178条)です。そのあたりから判断すればよいでしょう。

第6問 経済発展、環境。問2は1990年時点の消費税率を知っているかどうか。参考書には「1989年導入、1997年と2014年に税率引き上げ」と書いています。このあたり正確に押さえたいところです。
問3は、「環境保全の誘因を与える」という文章と直接規制との関係は知っておきたいです。違反行為者を直接処分する制度は「誘因」(インセンティブ)とは言えないです。一方でデポジット制度が「政策」手段と呼べるかは微妙ですが、日本はともかくとして、諸外国では容器使い捨て(ワンウェイ)を禁止したりする制度が導入されています。
問4は、コンパクトシティとふるさと納税について。時事問題にも近いです。ミニマムアクセスや独自課税は、無関係な用語ですが、字面に引きずられると間違えるかもしれません。
問題文は「居住地以外の市町村に寄付すると税控除される【 】という仕組み」となっていて、【 】にふるさと納税か独自課税のどちらかを入れる、というものです。この形式であれば、どちらか片方を正確に覚えていれば、正解にたどり着けます。
 
 
対策について。時事問題については、毎年新しい話題が登場するため、過去問演習でカバーしきれません。一方で、予備校の授業では詳細すぎるプリントが配られたりして、理系受験生には厳しいかもしれません。浅く広くの精神で大量の語句をザッと押さえるという方法では、今年の第6問問4のように不正確な知識に引きずられてしまいます。
このあたりのサジ加減は難しいでしょう。他にも覚えるべきことがたくさんあるから社会に手が回らない、というのが医学部受験生の本音だと思います。
ただ、社会的な感覚や知識が極端に足りないと、小論文や面接で手痛い思いをすることになるので、注意が必要です。
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