私大医学部の過去問を見ていきます。
今回は、2021年帝京大学の数学1日目。
2科目120分。単純計算すると数学60分です。配点は100点(全科目合計300点)。
試験範囲に数学IIIは含まれません。大問4コ。
易しい問題に一部けっこうな難問が混じっている、という感じです。
こういう場合の対応策は、難問は捨てて易しいものだけを確実に解く、ということになります。ですが、
どれが難問なのかは解いてみないとわからない、というのが悩ましいところです。
これが、数学という科目の特徴です。理科や社会は一般に、問題文を見た時点で、解ける問題かどうか判別しやすいです。知らない言葉や図、式、文字などが出ていれば、自分には解けないなとすぐに判断できます。
ところが数学は、知らない式が問題文で出てくることは少なく、解こうとしていろいろ調べてみた結果「自分が思いつくレベルの式変形ではどうにもならない」ことがわかる、という感じです。
数学で難問の見切りをつけにくい原因です。
解答:
(赤本より掲載)
〔2〕の(2)が、厳しい問題です。(ii)でx
3が出ていますから、3倍角の公式やら正7角形やらを使う必要があり、思いつきにくいです。しかも、解法が全く思いつかないという様子でもないので(初等幾何レベルで何とかなりそうな気がする)、試験中に時間をかけてあれこれ考えてしまう恐れもあります。
というわけで、見切りをつけていい問題かな、という気がします。
なお、(i)に限って言えば、
正弦定理を立てれば一発で解けます。三角形を書いて全ての各と辺を表して、正弦定理を立てるとその瞬間にa=3が出てきます。こういうのは「見つければラッキー」です(見つけられなくてもしょうがない)。
他の問題は、素早く正確に処理するべき標準問題です。
〔3〕の(2)は、速やかにlog計算して文字で置いていきます。
解答:
(赤本より掲載)
じつはこれも別解があり、
数学IIIの範囲での直接微分で、f'(x)を求めてf'(x)=0になるxを求めればすぐに出てきます。コツは、底を3に揃える前に、微分することです。そうすると共通因子でくくりやすくなります。
対策です。
易しい問題にちょっと難しい問題が入っているような入試問題は、満点を目指そうとすると大変になります。
これは普段の勉強でも同じです。真面目な受験生は「1冊の参考書を余すことなく完全にマスターしなければならない」と思い込んでしまって(最初はそれでいいのですが)、過去問演習が効率悪いものになってしまいます。
理解できればもう先に進んでいい問題(今回の〔2〕の(2))と、
問題を見た瞬間に手が動き始めてその手が最後まで止まらないようになるまで練習するべき問題(今回の〔3〕の(2))は、きちんと区別をつけて、メリハリをつける必要があります。