Quest クエスト 医学部受験メモ

クエスト 東京・新宿の医学部・東大専門予備校

過去問対策・帝京大医学部物理2021

[ Top ]
私大医学部の過去問を見ていきます。
今回は、2021年帝京大学の物理1日目。

2科目120分。単純計算すると物理60分です。配点は100点(全科目合計300点)。2021年は大問3問(その前までは大問4問)。

物理も、易しい問題に一部けっこうな難問が混じっているという感じです。物理の難問は、問題文を読んだ時点で違和感を覚えるものが多いです。今回もそんな感じです。

〔1〕は力学。
物体の形が複雑(斜めに壁に手をつく人間と、松葉杖をつく人間)なので、一瞬戸惑いますが、聞かれていることは単純です。ストレートに、力の大きさとモーメントの大きさを聞いています。釣り合いの式を立てて連立すればOKです。
問題文で重心位置と作用点位置が指定されているので、物体の形が複雑だということに意味がなくなっているんですね。しかも作用する力も問題文に書いてあるので、迷う要素がありません。


(赤本より掲載)

注意点を言えば、モーメントの大きさに関する支点が、よくある問題では棒の端だったり直方体の角だったりするのですが、今回は棒が鋭角に曲がる部分(人のかかと部分)なので、気を付ける必要があります。

図2の点Dが支点になるのですが、点Fにかかる摩擦力fは、点Dを含む棒(胴体部分)DAからみれば斜め向きに作用する力です。棒からみて斜め向きに作用する力は、普通はモーメントの式に加味します。棒の回転に寄与するからです。
しかし今回、点Dは、点fにかかる摩擦力fの作用線の延長にあります。この場合には、モーメントの式には加味しません。ですので結局、モーメントの釣り合いの式に摩擦力fは入らないことになります。
ここの見極めは、物体の形が複雑なので丁寧に行う必要があります。

〔2〕は電磁気。これは受験生には点が取れないと思います。
電子を放出してこの軌道を曲げて平面に衝突させる。これを一定時間続けて、電子が平面に描く軌跡を求めるという問題。

 
(赤本より掲載)

よく考えると電圧の大きさと位相を考えるだけで解答がだせる平易な問題であり、解答の解説もあっさりしています。コイルと抵抗器の素子特性(位相のずれと電圧)を把握すれば立式も計算も簡単です。しかも問題文には「楕円を描く」というヒントも書いています。
また数学では媒介変数表示を学習しており、リサージュ曲線の話を知っていれば大きな手掛かりとなります。

しかし、普段解く問題とはだいぶ様子が違います。多くの受験生は電場での力のつりあい式や、LRC回路の問題だと考えたかもしれません。
問題の図1と図2から「楕円が答えだ」とわかる受験生はそう多くはないでしょう。極板もコイルも、楕円をイメージさせるものではないからです。

対策です。
〔2〕の電磁気は取れなくても仕方がないです。しかしそのかわりに〔1〕力学と〔3〕熱力学は完答を目指したいです。〔3〕は体積と温度でグラフが与えられているのですが、これを速やかにPV図に書き換えて(長方形のサイクルになる)、熱力学第一法則から熱効率まで一直線に進めていきたいです。
そのうえで、〔2〕のような問題に向かうとするならば、ある程度ハイレベルな問題集で感覚を掴んでいきます。物理の難問集を、週3日・1日1問のペースで解くくらいでいいです。5分考えてわからなければ答えを見ながら解いていく感じです。
もちろん、〔1〕と〔3〕のレベルを短時間に確実に正解できる訓練のほうが優先です。
[ Top ]

クエスト 東京・新宿の医学部・東大専門予備校