私大医学部の過去問を見ていきます。
今回は、2021年日本大学の前期数学・N方式。
日大は昨年まではA方式(個別)とN方式(全学部共通試験)の2つの日程がありました。A方式の定員が97名、N方式の定員は10名なので、A方式の方がメインでした。
次からは、
N方式のみとなります。ただし、全学部共通問題のほかに2次試験で英語・数学が実施されます。
数学についていえば、昨年までのN方式は60分間で大問6問。全問マーク式です。
2022年の数学1次試験は、今までと同様に
60分間で実施することが発表されています。他学部と共通の出題ですので、医学部だけの事情で難易度や内容を変更するわけにもいかないですから、N方式の問題の状況が大きく変わることはないと思います。
大問IIは、日大N方式
頻出の確率問題。3×3マスのビンゴゲーム(縦か横で1列が揃うとよい。斜めがダメなので注意)で、最小個数で揃う場合と最多回数で揃う場合について出題されています。
(赤本より掲載)
最小個数はもちろん3コ、ストレートで1直線の場合です。
一方の最多個数は7コ。そしてその確率を求めます。これは方針に悩むかもしれません。
他の問題は、方針を立てるのに数秒であとは手を止めずに計算実行、という感じなのですが、確率については、
ちょっと考え込んでしまうかもしれません。
ミスもしやすいです。例えば6コであると誤答する場合というのは、「6コめで列が揃う状況をイメージしてしまって(そのイメージは間違いではない)、7コめで列が揃う状況をイメージできなかった」場合でしょう。そうすると、6コめで列が揃う確率を計算してしまい、この計算はできてしまうので、結果、失敗してしまうという流れです。
大問IVは、一見すると空間の問題のようですが、(1)(2)の両方とも、平面で考える問題です。
(赤本より掲載)
(1)は円外の点から円周への距離。その点と、円の中心を直線で結べば終了です。(2)は平面AOHを考えて、三角形の長さを三平方の定理で求めるというものです。題意を取り損ねることさえなければ、正解にたどり着けます。
大問VIも、二次関数の式を決定するという問題ですが、通る点と接線がわかるのですぐに答えられます。その後の面積や回転体積も、教科書レベルです。
この年は座標問題が多かったですが、年によっては数列、微積分、三角関数などもよく出ます。この分野は方針が立てやすい問題が多いので、手堅く取りたいところです。
対策です。
易しい問題なので満点近くとらないと合格できないのではないか、と思いがちですが、実は
合格最低点は7割未満です。しかしだからといって満点を狙わなくていいということにはなりません。7割狙いで勉強していくと、結果7割も取れなくなってしまいます。満点を狙って、本番では凡ミスを数問やらかしてしまって結果的に8割程度だった、というイメージでしょうか。
大問1つあたり10分です。そのあいだに無限等比級数やら回転体積やらをミスなくこなしていきます。確率だけは、どうしてもあれこれと方針を考えることになりますが、それでも
考えすぎて他の問題を解く時間を削ってしまうことがないようにしたいところです。