私大医学部の過去問を見ていきます。
今回は、2021年東京女子医大の物理。
2科目120分。単純計算すると物理60分です。配点は100点(全科目合計400点)。大問3問。力学・電磁気・熱または波動(隔年交代)内容は基本レベルですが、
記述問題やグラフ描記もあり、手ごわいです。
大問I 力学。円運動とエネルギー。おもりをつるして静止している状態と、回転運動している状態のそれぞれで、各種エネルギーを求める問題です。
(赤本より掲載)
基本レベルですから、ミスなく確実に正解したいところです。女子医の物理は全般的に標準問題ですが、そのなかでも力学は典型的な基本問題(受験レベルのなかでの基本)ですから、
準備が不足しがちな現役生でも十分勝負できます。大学の狙いもそこにあるのでしょう。
記述問題もありますが、普段から問題を解くときは途中経過もきちんと書いているでしょうから、その
普段どおりのものを書けば大丈夫です。しかし普段から、文字を置くときは丁寧に定義し、釣り合いの式を立てるときにはどの物体のどの方向についての式なのかを明記する、という癖をつけておきたいところです。
大問III 電磁気。電池と抵抗器の回路について、電流や電力を求める問題です。電場やコンデンサー、磁場、コイルなどといった難要素がないので、高校入試レベルの知識量でも解けます。
グラフ描記問題は、抵抗器に流れる電流と消費電力の関係についてです。P=RI
2の公式より、放物線のグラフとなります。抵抗の値が大きすぎると電流が流れなくなります。逆に抵抗の値が小さすぎると電流が多く流れますが、電池の内部抵抗があるために電流は一定の値に近づくことになります。その過程で、電流がちょうどいい特定の値のときに電力の値が最大になる、というところです。
グラフ問題は、普段の勉強で一度は書いたことがあるような形でないと、自信をもって解答するのは難しいです(グラフ問題に限らない話ですが)。特に医学部入試ですと、未知の問題に対する発想力よりも、典型問題の処理力の方が重要になります。
その一方で、あらゆるグラフを書いたことがある、という状態を作るのも難しいでしょう。見慣れない問題は、いくらでも作れるからです。
コツとしては、
定性的な感覚(比例反比例の利用も含め)よりも式変形に比重を置いたほうがいいと思います。放物線になることを感覚的に理解するというよりも、「設定はうまく把握できてないが、とりあえず式を立てて計算したら結果は2次関数になったからその放物線グラフを書く」という感じです。
対策です。
標準的なことを確実に解くことが必要です。良問の風あたりを進めていくとよいでしょう。その際には、「問題が変形されても解けるように」を心掛けてたいところです。
解きっぱなしで解法を形だけ覚えるような勉強法になるのを防ぐには、問題と答案を丁寧に分析することです。解いて終わりではなく、別解を考えたり解答式の意味を考えたりして、問題をゆっくりチェックしていきます。この点、
問題数で学習ノルマを立てている人は、1問あたりの事後分析が浅くなる傾向があるので注意が必要です。