Quest クエスト 医学部受験メモ

クエスト 東京・新宿の医学部・東大専門予備校

過去問対策・東京女子医大生物2021

[ Top ]
私大医学部の過去問を見ていきます。
今回は、2021年東京女子医大の生物。

2科目120分。単純計算すると生物60分です。配点は100点(全科目合計400点)。大問3問(昨年は4問、その前は5問)。今年は分量は減りましたが、それでも問題文が長く、処理が大変です。そのかわり、聞かれていることは標準的であり、特殊な知識は不要です。医学部らしく、遺伝や発生、代謝、体内環境当たりの分野が良く出ています。

大問I 大問Iは、ABCの3つの中問に分かれていて、そのそれぞれに小問がある、という形です。女子医大の生物は、知識問題のほかに、推理考察問題も多めです。
中問Bはホヤのモザイク卵について。卵の中の特定の位置に、分化に関わる因子があり、卵割のときに割球に因子があることで、その割球に由来する部分が将来の体の部分を決める、という話題です。


(赤本より掲載)

問7では、神経の発生をもとに、割球接触の組み合わせを考えるものです。球cから内胚葉と脊索が分化し、球aとbから表皮が分化していますから、cとaが接触している必要がある、と考えることができます。なお、これだけだとcとbの接触でもよいようにも思えますが、実験2でaとc、bとd、それぞれを接触させたものしか扱われていないので、cとaの接触というのが答えになります。
問8では、母性因子の存在・不存在を推理します。カルシウム欠如海水中では、64細胞期になるまで脊索細胞の分化が見られない(図4)ところから、脊索へと確定させる母性因子は存在しない、と考えます。
しかし、64細胞期には分化が見られるわけですから、そう言い切れるかどうかは微妙なところです。慣れないと、スパッと割り切って考えるのは難しいです。
実際には、ブラキウリ遺伝子の発現が64細胞期に活性化され、それにより作られたタンパク質が脊索特異的遺伝子の発現を引き起こす、という流れです。

大問II 説明させる問題が含まれています。今回は、有色・無色それぞれのコロニーが、どのような大腸菌に由来するのかを答えるものです。「外来遺伝子を組み込んだプラスミドを取り込んでいる大腸菌」というように答えればいいです。
しかし文章で答えさせる問題は、やはり練習が必要です。自習だと難しいかもしれません。自分の書いた文章と解答の文章とが、どれだけ離れているのか。「大体合っている」というレベルか、「大事なところが欠けている」レベルか。そのあたりの見極めは、先生にお願いするといいでしょう。


(赤本より掲載)

問3では、酵素によるフィードバック制御が扱われています。リシンを作り過ぎないようにする(アミノ酸の合成にはエネルギーが必要で、適量生産される、というのは問題文に書かれています)には、酵素AKにリシンを結合させて、物質ASAの生成を抑制する方法と、酵素HDを働かせてASAからHomを合成する方法とがある、ということを、図を見てイメージできるようにしたいところです。
この問題文と図だけでは、酵素HDがHomの合成を促進しているのか抑制しているのかはわかりませんが、どちらにしても、HDが機能しない変異株ではリシンの合成が止まらないことになります。(オペロン説における正の抑制・負の抑制の話に似ています)。

対策です。
推理考察がやや独特であり、どこまで割り切って考えて、どこまで厳密に考えるのかは、問題を通して把握するしかありません。その意味で、過去問の分析は必須です。また、女子医大に限らず、文章で理由や説明を解答する問題に対しては、大学がどの程度の内容を要求しているかがわかっていないと、詳しく書こうとするとキリがないし、また簡潔に書こうとして重要部分を落としてしまうおそれもあります。
また、基本知識で正解ができる問題が多いのですが、その基本知識がストレートに聞かれるとは限らない、というのもポイントです。学習内容がちょっと複雑になると、正確な理解よりも「とりあえずの解答記憶」に流れることがあります。それが積み重なると、形を変えらえて出題されると手が出なくなってしまうことになります。
[ Top ]

クエスト 東京・新宿の医学部・東大専門予備校